Uターン就職とは｜魅力・注意点・就活成功の秘訣を解説

Uターン就職とは一体なに？ 魅力から就活の進め方まで徹底解説

鈴木なぎさ

地元での就職を視野に入れているのですが、友達はみんな都心の企業で働きたいと言っていて悩んでいます……。

渡辺キャリアアドバイザー

地元に戻って就職する「Uターン就職」を検討しているのですね！

この記事では、Uターン就職とは何かについて解説していきます。Uターン就職を成功させるには、これから紹介するメリット・デメリット、成功へのステップなど、幅広く知ることが大切です。

Uターン就職を決めた人だけでなく、まだ悩んでいる人に向けてのネクストアクションも紹介しています。この機会に、Uターン就職について理解を深めましょう。

Uターン就職とは？ IターンやJターン就職との違いも解説

Uターン就職とは、生まれ育った故郷を出て都市部に移住し、再び地元に戻って就職することです。新卒として地元で就職する人、一度都市部で働いたあと、地元に戻って就職する人などが当てはまります。

Iターン就職との違い

Iターン就職とは、地元以外の場所で就職することをいいます。たとえば、都市部出身の人が地方に移住し、就職する場合はこのIターン就職に当てはまります。

Uターン就職は、出身地に「戻る」のに対し、Iターン就職は出身地を「出る」という点が異なります。

渡辺キャリアアドバイザー

たとえば、生まれも育ちも東京だった人が、北海道に就職したとなると、Iターン就職に当てはまります。

Jターン就職との違い

Jターン就職とは、生まれ育った故郷から都市部へ移住したあと、もともとの出身地にほど近い地方都市で就職することを指します。

地方都市とは、首都圏、関西圏、中京圏の都市以外の都市のことをいいます。一般的には都市化が進んでいますが、主要な都市や大都市圏に比べて人口や経済規模が小さいのが特徴です。

Uターン就職では、希望の職種や業種が見つからないこともあるため、地方と比べて求人の数が多いとされる地方都市での就職を選ぶケースもあります。

渡辺キャリアアドバイザー

福岡県北九州市出身の人が東京の大学に在学し、卒業後は福岡県福岡市で就職するといったケースが該当します。

キャリアアドバイザーコメント

都内での就職も視野に入れている人は、以下の記事も読み、比較検討してみましょう。
東京で就職するなら計画性が肝！ メリット・デメリットも一緒に解説

Uターン就職をする5つのメリット

鈴木なぎさ

U・I・Jターン就職について解説してもらいましたが、もっとUターン就職について知りたくなりました！

渡辺キャリアアドバイザー

地元で働きたいという気持ちが強いのですね！ それでは、Uターン就職についてさらにみていきましょう。ここからは、Uターン就職をするメリットを紹介します。

①生活費が抑えられる

渡辺キャリアアドバイザー

なぎささんは、なぜUターン就職をしたいのですか？

鈴木なぎさ

地元が単純に好きなのと、大学で一人暮らしを始めてから生活費が足りなくて……。実家に戻るのも選択肢の一つにあります。

家賃、食費、光熱費など、生活をしていくために必要な最低限の費用は、地域によって異なりますが、基本的には都市部にいけばいくほど生活費が高くなる傾向があります。地元に戻ることで日々の暮らしにかかるコストを抑えることができるというのもUターン就職のメリットの一つと言えるでしょう。

②地元に貢献できる

渡辺キャリアアドバイザー

先ほど、地元が好きだとおっしゃっていましたね！ 愛着のある地域で働くことは、地元に貢献することにもつながるので、とても良いですね！

鈴木なぎさ

えっ、貢献と言えるほどでしょうか……？

たとえば、地元の飲食店で働く場合、お客さまの笑顔を見られたり、地域のコミュニティが活性化されたりなど、地域に良い影響を与えることになります。

直接的に貢献していると実感していなくても、地域の人やコミュニティと触れ合うことが、地域の人々の力になっているのです。

③慣れ親しんだ価値観や文化が根付いているので過ごしやすい

渡辺キャリアアドバイザー

生まれ育った故郷や地元の文化は、慣れ親しんでいる人が多いでしょう。Uターン就職をする人にとって、日常生活におけるストレスを感じにくいと言えます。

鈴木なぎさ

確かに夏休みに帰省したとき、人から土地まで、あらゆる点で東京と異なると感じました。

違いがわかるのは、双方の地域を経験したからこそです。そこで地元の方が過ごしやすいと感じる人は、Uターン就職に向いているでしょう。

地元には、ほかの地域にはない独自の文化や価値観、社会的なルールがあります。生まれ育った場所であるからこそ理解を示し、それに従うことができるため、コミュニティへの適応がスムーズに進むと言えます。

④地元の友人や信頼できる人が身近にいるので安心して働ける

渡辺キャリアアドバイザー

社会人になると、仕事のことで悩むこともあるでしょう。そんなとき、身近に相談できる友人や家族がいると心の支えになります。

鈴木なぎさ

就活でも感じます。周りに友達がいるからこそ、頑張れているのだなと！

Uターン就職は働きやすさだけでなく、ビジネスチャンスになることも。地元の友人や知人を通して新たなコネクションが広がれば、地域での活動や仕事の機会が得られるでしょう。

⑤通勤のストレスがない

渡辺キャリアアドバイザー

多くの社会人が悩まされていることの一つに、電車移動が挙げられます。

鈴木なぎさ

言われてみれば、授業が1限目からある日は、通勤ラッシュで人が多いので、正直ストレスを感じちゃいます……。

就職先の地域にもよりますが、都心部から離れるほど満員電車に乗る場面は少なくなります。Uターン就職は、通勤ラッシュに巻き込まれる可能性もぐんと下がるため、移動のストレスは軽減されるでしょう。

キャリアアドバイザーコメント

就職先の決め方がわからないと悩んでいる人は以下の記事もおすすめです。どんな就職先も良く見えてしまったり、自分に合っている企業がわからない人はぜひ読んでみてくださいね。
就職先の決め方にもう迷わない！ マンガでわかる見つけ方5ステップ

Uターン就職をする際の注意点と解決策

鈴木なぎさ

Uターン就職って魅力がいっぱいですね！

渡辺キャリアアドバイザー

そうですね！ ここまでUターン就職のメリットについてお話しましたが、実はデメリットもあります。

鈴木なぎさ

え！ そうなんですか……。

Uターン就職には魅力がたくさんある反面、ネガティブな面もあります。しかし、ネガティブな面を知っておくことで早めに解決策を考えられたり、ミスマッチを防ぐことができます。

ここからは、Uターン就職をする際に押さえておきたい注意点と、その解決策を解説していくので、Uターン就職を検討している人は自分の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてくださいね。

①注意点：求人の選択肢が都市部よりも少ない

渡辺キャリアアドバイザー

都市部と比べて、地方の人口は少ない分、求人数も少なくなってしまいます。とはいえ、2025年4月の有効求人倍率は東京都1.13倍、地方も1倍以上の倍率であることから、仕事がないわけではありません。

鈴木なぎさ

仕事はあるのに就職先が見つかりにくいのはなぜですか？

渡辺キャリアアドバイザー

都市部と地方では強みとする業界や業種が違うからです。そのため、自分が希望する就職先が見つからない可能性があります。

地域によって主要な産業が異なるため、求人の内容に多少の違いはありますが、中小企業庁が発表している小規模企業の動向などについてまとめた「小規模企業白書（2016年版）」の中の「4地方と大都市における業種構造の違いについて」によると、都市部だと金融、IT、不動産業などが盛んである一方で、地方は建設、製造、小売業などが発展していることがわかります。

自分が就職を希望している地域ではどのような仕事が多い傾向にあるのか、事前に把握しておくと、就職活動の際にさらに動きやすくなりますよ。

参考：独立行政法人 労働政策研究・研修機構「職業紹介-都道府県別有効求人倍率」

①解決策：地元の説明会に参加する

鈴木なぎさ

では、どのようにして就職先を探せばいいのでしょうか？

渡辺キャリアアドバイザー

全国各地で開催している合同説明会に参加するのがおすすめです！

合同説明会とは、さまざまな企業が一つの場所に集まり、学生や求職者に対して企業の魅力や採用情報を提供し、面談や質疑応答の機会を設けるイベントです。新たな発見があるだけでなく、直接採用担当者に会える絶好の機会です。

通常、合同説明会には開催県にある企業が参加するので、希望としているUターン就職先で出席するのをおすすめします。また、移動時間や交通費のことを考えて、時期の近い合同説明会をピックアップしておくのも有効です。今のうちから情報を集めましょう。

説明会では感想を求められることがあります。以下の記事では例文8選と合わせて会社説明会の感想の書き方を解説しています。
会社説明会の感想の書き方を形式別で解説｜厳選例文8選付き

②注意点：地元ならではの慣習が合わない可能性もある

渡辺キャリアアドバイザー

先ほど、Uターン就職のメリットとして、地元の文化や価値観に慣れ親しんでいることを挙げました。逆も然りで、地元ならではの慣習にストレスを感じてしまう人もいます。

鈴木なぎさ

私の地元だと近所付き合いや地域の行事もあるから、人によっては負担になってしまいそうですね。

地域によっては、昔から受け継がれてきた風習や文化を大切にすることもあります。ですが、都市部に移住して生活様式が変わり、生まれ育った故郷の慣習が合わなくなることは珍しいことではありません。

出身地だから大丈夫だろうと思っている人でも、Uターン就職を機に地元に戻り、ストレスを抱えてしまうケースもあるのです。

②解決策：学生のうちに何度か地元に帰る機会を設ける

鈴木なぎさ

私は地元でストレスなく過ごしていけると思っていましたが、上京してから考え方が変わっている可能性もありますね。

渡辺キャリアアドバイザー

その通りです。なので、今から地元での生活が合うかどうか、確認することが大切です。

幼少期に感じていたことと、大人になってから感じることは異なるため、地域コミュニティや人との付き合いは苦ではないか、その地域にある慣習を受け入れられるか、実際にその地に訪れて体験してみることがおすすめです。

社会人になってからの生活をより現実的に捉えるため、すでにその地で就職をした経験のある家族や友人に話を聞いてみましょう。情報が偏らないよう、複数の人に聞けると良いですよ。

③注意点：就活や引っ越しの費用が必要

鈴木なぎさ

Uターン就職では、就活や引っ越しに費用がかかってしまいますよね。学生には払えない気がします……。

渡辺キャリアアドバイザー

たしかに、面接や会社説明会のために、地方に行く場面は多くありますね。

都市部の大学に通い、都市部での就職を考えている場合には面接や会社説明会のために宿泊を伴う移動が求められることはほとんどありません。

一方で、都市部の大学に通いながら、地元での就職活動をおこなおうとすると、会場までの移動費、宿泊費、食事代などがかかり、それは決して安い費用とは言えません。近年ではオンライン面接も主流となってきていますが、都市部での就職活動に比べると就活や引っ越しの費用がかさむことを頭に入れておきましょう。

③-1解決策：補助金をもらう

鈴木なぎさ

かなり費用がかかってしまいそうですが、Uターン就職を考えている人はすべて自分で払う予定なんですかね……。

渡辺キャリアアドバイザー

家族からの援助や自治体からの補助金でまかなうケースもあります。

Uターン就職を歓迎している一部の自治体では、補助金や支援制度を提供しているケースもあります。これらの制度は、地方の人口流出を防ぎ、Uターン就職を促進するためです。

Uターン就職を検討している人の宿泊費を補助したり、条件を満たす人に支援金を支給したりなど、さまざまな支援策があります。詳しくは、各自治体のホームページを参考にしてくださいね。

③-2解決策：移動手段を工夫する

渡辺キャリアアドバイザー

費用を節約するもう一つの方法として、移動手段を工夫することが挙げられます。

鈴木なぎさ

言われてみると、就活でかかる費用のほとんどが交通費な気がします。

特に地方での就活日は移動費がかさみます。本格的に就活を始める前に、一度費用を計算するようにしましょう。その際、スケジュールをなるべくまとめるのもポイントです。行く回数を減らすことで、コストを抑えられます。

また、各交通手段によって学割が使える場合もあるので、事前に確認してみてくださいね。

キャリアアドバイザーコメント

自分に合った就職先を考えるうえで自己分析や他己分析は非常に役に立ちます。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自己分析
簡単15のやり方で自己分析はもう迷わない！ 活用法を徹底解説
他己分析
他己分析のやり方を4ステップで解説！ 聞く相手別の質問リスト付き

Uターン就職を成功させるためにすべきこと3選

渡辺キャリアアドバイザー

次は、Uターン就職を決めた人が次に取るべきアクションを具体的に紹介します。

鈴木なぎさ

徐々に本格的になってきましたね！

渡辺キャリアアドバイザー

はい！ 準備段階が合否を左右するといっても過言ではありません。丁寧に一つひとつと向き合っていきましょう。

①なぜ地元を選んだのかを明確にする

渡辺キャリアアドバイザー

Uターン就職を成功させるためにまずやるべきことは、なぜ地元を選んだのかを明確にすることです。面接やESで多く聞かれる質問なので、答えられるようにしておきましょう。

鈴木なぎさ

確かに、近隣からやってきた人と、わざわざ都市部から地方にやってきた人とでは、質問内容は異なりそうですね。

その地域によって強みとする産業が異なるため、企業によっての色も異なります。そのため、企業側は地方を選んだ理由を聞くことにより、就活生は何に興味があるのか、何をやりたいのかを知ろうとしています。

地元が好きだからという理由だと、その企業を選んだ理由が明確ではないため、地元企業で何を成し遂げたいのか、何に興味があるのかを伝えられるようにしましょう。

キャリアアドバイザーコメント

②スケジュールを徹底管理する

渡辺キャリアアドバイザー

現在住んでいる地域から離れた場所で就活をする人は、スケジュール管理が問われます。

鈴木なぎさ

移動をするにしても時間がかかってしまうので、十分な準備期間を確保しておきたいな。

就活では、複数の企業の選考を受ける場合がほとんどです。そのため、他企業と面接日程が被ってしまう可能性もあります。

スケジュール管理を怠ると、あとから企業に面接の日程をずらしてもらうなど、手間がかかってしまいます。あなたへの印象にもかかわってくるため、注意しましょう。

渡辺キャリアアドバイザー

就活解禁までにUターン就職の情報収集をおこない、スムーズに就活を進められるようにしておきましょう。

③ガラリと変わる地元での生活をイメージしておく

渡辺キャリアアドバイザー

Uターン就職の本番は、地元での社会人生活です。無事就活が成功して終わりではなく、プライベートでの過ごし方もイメージしておきましょう。

Uターン就職を機に地元での生活を再スタートした人のなかには、「こんなはずじゃなかったのに……」と理想と現実の差に悩んでしまうケースがあります。

就職を経験したことのない学生にとって、社会人生活をイメージするのは難しいことです。しかし、大学在学中に帰省するなど、何度か地元に足を運ぶ機会を設けることで、現実的な視点を得られます。

Uターン就職をするか悩んでいる人向けのネクストアクション

鈴木なぎさ

Uターン就職には興味があるけど、今の時点で地元に戻るかは決断できないです。どうしましょう……。

渡辺キャリアアドバイザー

今後の生活を決める大きな選択なので、悩んでしまいますよね。そんなときは、とにかく「行動」が一番です！

①厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」で情報収集する

渡辺キャリアアドバイザー

まずは、Uターン就職の情報収集をしましょう。

鈴木なぎさ

ネットで調べてみても、いまいちどのサイトが良いのかわからないです。

渡辺キャリアアドバイザー

厚生労働省が運営する「若者雇用促進総合サイト」はおすすめですよ！

若者雇用促進総合サイトは、就職活動中や就職を控えている学生に向け、就職サポートをするサイトです。全国の求人情報がまとまっているため、地方企業での就職を考えている人も有効活用できます。

②Uターン就職に強い就職エージェントを使う

渡辺キャリアアドバイザー

求人情報が多すぎてわからないという人は、就職エージェントを使うのも一つの手です。Uターンに特化した就活エージェントもあり、求職者と地方企業とのマッチングをお手伝いしてくれます。

Uターン就職に特化した就活エージェントは、地域の非公開求人情報を持っていることが多いため、Uターン就職を成功させるための近道として有効な手段です。

さらに、求人情報を紹介してもらうだけでなく、就活の進め方やESの書き方などもサポートしてくれます。スケジュール管理で悩んでいる場合は、面接の日程についても相談してみると良いでしょう。

③実際にUターン就職をした先輩に話を聞いてみる

渡辺キャリアアドバイザー

OB・OG訪問を利用して、実際にUターン就職をした先輩に話を聞くのも良いでしょう。

OB・OG訪問を利用し、Uターン就職の経験者を訪ねることで、仕事内容や職場の雰囲気はもちろん、Uターン就職ならではの面接対策や働いてみてのギャップなどの情報を収集することができます。

最近では、オンライン上でおこなうOB・OG訪問も増えており、なかなか地方まで足を運ぶのが難しいUターン就職希望者にはおすすめです。

OB・OG訪問をより充実した時間にするために以下の記事もチェックしてみましょう。使える質問例80選も紹介しています。
質問例80選｜OB・OG訪問の質問で就活の心配事を一掃しよう！

キャリアアドバイザーコメント

就職先がなかなか決められないという人は以下の記事も参考にしてみてくださいね。
就職先が決められない！自己分析から導く企業選びのコツ8選

Uターン就職とは魅力ある選択肢の一つ！ まずは情報取集から始めてみよう

渡辺キャリアアドバイザー

Uターン就職についてわかってきましたか？

鈴木なぎさ

はい！ 最初は今さら地方に戻るなんて……と諦めかけていましたが、希望が見えました！

渡辺キャリアアドバイザー

それは良かったです！ Uターン就職はとても魅力的な選択です。まずは情報収集から始め、Uターン就職の実態を深掘りしていきましょう。後悔のない就活を進めてくださいね！

記事の編集責任者 小山内 隆

アクセス就活PLUSを運営するアクセス通信（現アクセスネクステージ）に新卒入社。就職サイト「アクセス就活」の立ち上げや、関西支社の営業責任者を経て、名古屋支社の責任者として立ち上げを担う。人事採用支援のほか、就活相談や就活講座の講師などキャリアアドバイザー職を経験した後、2017年に同社役員。現職は採用アウトソーシング（RPO）事業の担当執行役員 ＞ メッセージを読む